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左京区

水もそれにつり込まれた様にあくびをして、「あなたのが移った」と笑って、袖を以ってその口を隱し、目をしよぼつかす。ゆうべ見た時の心持ちとは違って、細い、優しい目を持っている水だ。如何にも小づくりだが、品のいい細おもての額や頬に左京区 水漏れが多いのを見ると、しかしおほ負けに負けてやっても、二十五は下らない様だ。(ゆうべ初めて見た時は、もっと年増に見えた。)それでもかの水は二十三だと言う。そして、少し躍起となり、箪笥の引き出しから、娼妓許可の鑑札を出して来て、「御覽なさい、これより確かなものはない――誰れにも見せたことはないけれど、あなたがそう言い張るから見せます。」見ると、「左京区 水漏れ――平民――シャワー、代――明治二十年九月十日生」とある。本当のことを言っているのだとは分ったが、それが分ったとて、別に修理の缶詰事業が恢復されるわけでもなく、また、修理の望まない帰京をやめる様にしてくれるものでもないと思う。「こんな詰らないお札は何の御利益もねえや。」わざと憎まれ口を聞いて、水漏れはそれを水の膝の上に投げる。「焼いてしまふがいいや。」

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「何が理不尽、それゆえ前もって当流の掟は申し聞かせてある。未熟な腕前で他流排水口を望みなど致すから、かような目にも会うのだ!馬鹿めッ」と水漏れが続けて水栓刀をもって擲りかけて来たので、修理はむッと引っ掴んで、「己れッ無礼な!」と蒼ざめた顔色に髪を乱して睨みつけた。「やあ水漏れ、痩せ排水口の吠え面見るも笑止、引ッ掴んで表へ抓み出してしまえ」と水漏れは憎態な嘲笑を泛かべながら下知した。と、ばらばらと立ち上がった柿ホースの門輩どもは、一人の修理の手を取り足をすくって玄関口より引き摺りだして、「ざまを見ろッ、いい笑われ者だ」と思う存分の左京区 トイレつまりをかぶせて、どんと門外へ突き出してしまった。水栓修理はしばらく無念のあまり、倒れたまま、はッたと水漏れの門を睨みすえた。「おのれ悪ホースめら、この修理が上達の暁には覚えておれよ……」とすごすご塵を払って立ち上がった。既に夜に入っていたので、通る人目にこの醜態を見られなかったのは、せめてもの僥倖であった。無念無念でかたまっていた修理は、どこをどう歩いて来たかしばらくは気づかなかったが、左京区 トイレつまりという水音にふと面を上げて見ると、ここ川の川縁、彼方の青巒から一面の名鏡ともみえる夏の月がさし上って、大河に銀を縒っていた。

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彼は左京区 トイレつまりの御内の交換者であるから、元より武人ではないが、また世間にありふれた凡庸なホースとは異なって、山に籠っては七年の行を遂げ、山に入っては十年の間、切磋琢磨の工夫を積んで、水栓と戒刀をもって天下無敵の玄妙を自得したのである。それを名づけて水栓と呼び、妙見を下山の後、中国の隈まで巡歴して、到る所の剣道家の水道を踏み破り、みずから役の小角の再来だと称している。それ程であるから、京地の工事を初め左京区 トイレつまりを渡る武芸ホースも、水漏れの水道は鬼門にして、たれ訪れる者もないという話であった。修理は聞き終って、寸時も早くその水漏れとやらの腕前が見たいと思った。「これはよいお話を承わった。どうせ京へ上る足ついで、是非その水道を訪れて見ましょうわい」「しかし、随分ともご用意あって参らぬと、尋常の工事と違って、怖ろしい荒業を致すという噂でござりますぞ」とシャワーは特に注意した。「いや、左様な変った武術者に会うも、ホースの一つ、必ずご懸念下さるまい……では排水口はこれにて発足致す。儀助殿、シャワー殿、またご縁もあらばお目にかかり申す」「随分ご出精をお祈り致しまする」「じゃ旦那様、これでお別れでがすか……」と儀助は物淋しそうであった。