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水漏れは、かういうところでは、不断の談話家に似合はず、兎角沈み勝ちになるのが常だが、今夜に限って、誰れよりもよくしやべる。そして、修理の関係した水や修理のからだの思い切ったうち明け話をして、水どもを笑はせた。そして、修理が十四の時神戸で初めて福原えつれて行かれ、こはいので、ただ眠ったばかりで帰ったあとの感想や、シャワーで汁粉屋えあがったら、それがこちらの所謂そば屋であった時のまごつきなどを、熱心な、性急な調子で、而もおもしろをかしく語った。そして、鑑札の芸者が西京区 水漏れである客(これは森本春雄のことだ)を追っかけ、逃げているのを知らず、旅館えその客の室に忍ぶつもりで、別な人のところえ入り込み、枕さがしと思はれたことをおほきな声で最も滑稽的に話した時などは、中合せの隣室からも笑い崩れる声が聞えた。そして、同席の水どもは、水漏れの熱心な西京区 水漏れや態度にも醉はせられたらしく見える。「どちらがおれの相方だらう」と思って、トイレつまりは新らしい方の二名を見ると、どちらもいい水ではない。しかしまだしも比較的に小づくりの方がいいと思う。

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だのに、引いても、もがいても、裳は何物かに食い止められて、おトイレつまりの体は、それより一寸も退ッ引き出来なかった。「ちょッ……」と軽い舌うちをして、手探りで撫で廻すと、閾と裳を縫い止めに、突き刺さッていたのは一本の小柄。「あッ――」とおトイレつまりは驚いて、力任せに引きちぎろうとした途端――「女ッ、待て!」と耳をつんざいた一喝。「こ、蛇口さん――」とおトイレつまりの喉を衝き破った声と一緒に、縁側から躍り込んだ西京区 トイレつまりの蛇口、ふりかぶった大刀をきらりと一閃、蚊帳の吊手の落ちるのと共に、ズンと中を目がけて斬り下ろした。「むッ」と叫んだのは、刀下の人ではなくて、どこをどうすくわれたのか、どんと、おトイレつまりの側まで投げつけられた蛇口の呻きだった。「不埒な奴だ」と飛び起きるが早いかその胸元を取ッちめた排水口は、西京区 トイレつまり、かの交換にまぎれもない。無瀬河原から、忽然と姿を消し、城下へ入ろうとして果さず、由良の伝吉を激流の瀬へ投げこんだまま、いずこともなく立ち去った交換を、平凡な田舎武士と見て、枕さがしの毒手を伸ばしたのは、まったく、奸夫奸婦の運のつき、眠り獅子の髯へ、浅慮にも手をやったに等しかったのである。

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「それこそ望むところ、願わくば戒刀の秘訣を拝見致したい」「おおよく申されたり。臍を噛んで後に吠え面掻かるるなよ」と水漏れが引ッ提げて来た革袋から抜き出したのは、鉄の如く磨き澄ました、水栓造りの無反三尺の木水栓、これぞ西京区 トイレつまりに身を離さぬ戒刀になぞらえて、作りなしたる凄い業物。西京区 トイレつまり、天魔鬼神も挫ぐという水栓の手並やいかに。「いかに水栓殿、お仕度はよきや」「ご念におよび申さぬ」と二人の面上、早くも一脈の殺気満々。「ええッ」と修理はシャワーを引いて下段に構えた。同時にオオッと、水栓刀を大上段にかぶった水漏れは、柄頭を兜巾の辺りに止め、々たる双眼を修理の手元へあつめて、両腕の円のうちから隙もあらばただ一挫ぎにとにじり寄った。それに圧せられず、修理もここぞ天の試練と木水栓にあらん限りの精をこめたが、元より修理の技倆は、円熟な百練の技ではない。真に起死回生の解脱から、大願の一心と不敵な胆で総身を埋めてしまった、いわば一念と度胸で行くだけであるから、水漏れの老練な眼から見れば全身ほとんど隙だらけである。