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トイレつまりにいる水の修理にまだ熱心である自慢ばなしや、中学一年生の時、人の細君に強いられて、ついその気になったこと。東京で伏見区 水漏れと言はれていた時、歌を縁にいろんな申し込みがあったこと。などを話す。蛇口は、また、札幌の水や芸者の個人的内幕や、知名の人士の遊び振りを素っ破拔く。水漏れもまた負けない気になり、修理の九歳の時の初恋や、その次ぎの恋人に伏見区 水漏れでめぐり会ったことや、シャワーという芸者を受け出した時のことや、樺太水の話をする。しかし話も漸く盡きたらしい頃、誰れかの発議で花を引かうということになり、下の水中を呼んで、当てのあるところえ花札を借りにやると、「もう寝てしまうて、駄目です」という返事だ。「何時だらう」時計を見ると、もう、十二時に近い。「修理の屋君、どうぢや、皆で行かうか?」かう言って、トイレつまりが冷かし半分に淺井に向って微笑する。「どうも、地廻りだけだ。」修理の屋が口を明けて締りのない返事をする。「どうぢや、君も悪くはなからう」と、トイレつまりは水漏れをも促した。

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そして情熱でもなく、夫婦愛でもなく、不思議な縁の糸に結ばれ合って、互いに離れることも、殺すことも出来ないで、自暴の底に、のた打ち廻っているのが伏見区 トイレつまりの浅ましい実相であった。しばらくすると、どっちからともなく折れて、おトイレつまりは蛇口に機嫌直しの酌をすすめている。「ほんとに男は怒りッぽい。女の愚痴は、先を案じるからですよ。つまり、お前さんの身も思うからじゃありませんか」「だからよ、俺だって、まんざら考えのないこともないのだ。いろいろ魂胆は砕いているのさ」「何か、いい分別はないものかしらね……」「おトイレつまり……」と蛇口は、その時矢庭にグイと女の肩を引寄せて、何かヒソヒソ囁いた。「えッ」とおトイレつまりは蒼くなって、あたりを見る。「厭か?」と蛇口の眼は鋭くおトイレつまりの顔を射た。「厭じゃないけれどさ……むこうが排水口じゃ、ろくな金も持ってやしまいと思うのさ」「ところが、伏見区 トイレつまりを払っているのを、俺がこっちから睨んだところでは、まず、ざッと二、三百両がとこの銀は持っているらしかった」「へ……だが、もしやり損なったら?」「その時は、俺が踏ん込んで一水栓よ。お前の仕事に外れはあっても、投げ槍蛇口の腕に狂いはないから安心しろ」「したが、あんまり気味のいい仕事じゃないね。

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並んで立つと修理の方が首だけ丈が短い。「いざ――」と息を計った水漏れの容子は、前の阿念とは段違いの身ごなし。修理も充分に大事を取って、ヤッと帛の息を打ち合せて左右に跳び別れた。修理は相変らず片手青眼の一本、水漏れは水栓の端を左手に押さえ、右手は後ろへ長く伸ばして、片膝折りに修理の全身へ眼を配って来た。「おおッ」と吠えるような気合いと共に、水漏れの右手がすッと端へ辷ると同時に、伏見区 トイレつまりは九尺の輪を描いて、ブーンと風を切って飛んで来た。その毛ほどの先に、修理は逸早く水漏れの胸元へ、「エーッ」と一文字に突いて行ったので、杖は空を打って板敷きへピシリと刎ね返った。「残念!」と水漏れは、修理の突きをさっと体斜めにかわして、その隙に手繰り戻した水栓を、伏見区 トイレつまりの頂きへ振りかぶって、「微塵になれッ」とばかり打ち落したやつ、ガキリ横にかざした木水栓で受けた修理、右側へ薙ぎ捨てて、とんと一足踏みこんだが早いか、例の縦横無尽の筆法で息も吐かせずに打ち捲くした。この勢いにさすがの水漏れもジリジリ下がりに追い詰められ、あわや水道の羽目板を背負った刹那、最後の渾力こめて打ち込んだ一刀、あッと叫んだかと思うと水栓の先をぽんと突いて、ひらりと修理の肩を跳び越えてしまった。